わっちのコンサルブログ~難しいことを簡単に

コンサルタント稼業のわっちが、経済やビジネスに関するトピックについて語り、時に問題提起します。週に1、2回の更新を目指します。

【書評】日本社会のしくみ

600頁に迫る大作だが、興味深い話が多く、人事制度や年金制度の仕事をする者としては非常に勉強になった。
日本的雇用が出来上がった経緯、諸外国との比較、また、今の公的保障制度が昔の「カイシャ」と「ムラ」という世の中のしくみを前提にできていて、最近の世の中の変化(「カイシャ」「ムラ」以外の層の増加=「大企業型」「自営業型」「残余層」とも表記されている)に対応できていないこと、等々。
また、欧州諸国は職務の平等があるので企業間の異動がしやすいが日本は会社内の平等が重視されている。加えて企業内でしか通じないスキルが重視されることもあり、転職がしにくい。
また、教育システムも、こうした企業の対応に人口構成の変化(団塊ジュニアの存在など)も相まって大きく影響を受けている。
自分に当てはめてみると、ムラ育ちの時期は会社員は回りに少なかったこと、運良く大企業に入ったことで余り格差を感じさせられることがなかったこと、専門資格を取ったことで欧州に近い職場選択ができたこと等は、実はユニークな状況だったことが理解できた。

最後に、しくみを変えるのは大変だが、しくみを選択するのは私たち自身だというメッセージ。ここは是非みんなにも考えてほしい。