わっちのコンサルブログ~難しいことを簡単に

コンサルタント稼業のわっちが、経済やビジネスに関するトピックについて語り、時に問題提起します。週に1、2回の更新を目指します。

人事異動の季節~異動も悪いことばかりじゃない

4月は人事異動の季節。筆者の身近でも人事異動の話をよく聞きますし、新聞でも人事異動の記事がとても目立ちます。

ただ、筆者は30年以上サラリーマンをしていますが、実はちゃんとした人事異動の経験がありません((;^_^A)。転職経験はあるのですが、特殊な仕事についているためで、仲間内ではかなり珍しいのではないかと思います。

そんな私なので、人事異動の悲哀は実感がないのですが、逆に客観的に語ってみたいと思います。

 

■「人事異動あるある」

 つかみに、人事異動をめぐってよく聞く話を書いてみようと思います。都市伝説的なものであり、真偽については定かではないですが、基本的にネガティブなのが多いですね・・・。

・結婚すると人事異動

・家を建てると転勤の辞令

 ・変な時期の人事異動は「わけアリ」

 ・人事異動のパターンを見れば出世コースかどうかがわかる

 

 

■人事異動とは

一般に人事異動といえば、同じ会社の中で別の部署に異動することをいいます。

転勤を伴う場合もありますし、転勤を伴わない本社内の別部署への異動もあります。

 

人事異動のタイプをおおざっぱに分類してみましょう。

 

1)仕事の内容が大きく変わるもの

 例えば、人事部勤務だった人が、経理部勤務になったり、営業部勤務になったりというケースです。

 このケースは、担当する仕事がかなり大きく変わりますので、仕事を覚えなおさなければなりませんから、なかなか大変だと思います。

 なぜそんな非効率なことをするのかというと、「色々な仕事を経験することで、会社全体のことを理解させる」というのが大きな狙いになっていると思います。

 あるいは、若手であれば、その人の適性を見極めるために、複数の仕事をさせてみるといった狙いもあると思います。

 

2)仕事の中身はあまり変わらないもの

 例えば、仕事の中身は同じで、営業所が変わるようなケースです。横浜支社勤務から仙台支社勤務といったものですね。

 このような人事異動は、営業という仕事自体は変わらないのですが、いくつかの狙いがあると思います。例えば、

  ・マンネリ感の解消

  ・顧客や同僚との癒着の防止

といったものが挙げられます。

 マンネリ解消は、転勤によって気分転換を図るもので、これは比較的わかりやすいと思います。

一方、癒着の防止は、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、顧客や同僚との関係が長くなると、癒着、緊張感の欠如といったことから、不正が起きる可能性が高まるという懸念があり、これを避けるために定期的に異動させるということです。これは役所や金融機関などでよくみられるように思います。

 

3)会社の戦略上の理由によるもの

これは、例えば新しい工場を作る場合や、海外に営業拠点を新設した場合など、にその立ち上げのために現地に転勤するといったケースです。

仕事の内容はある程度それまでの経験が生かされることが多いと思いますが、新たなことを始めるわけなので、大変な反面、やりがいも大きいと思います。

 

 

■人事異動はネガティブなもの?

 「人事異動」には、少なからずネガティブなイメージがあるように思います。

「せっかく仕事を覚えたのにまたやり直しで、スキルが身につかない」とか、「また人間関係を作らないといけない」、あるいは単身赴任などのように「家族や親しい人や友人と離れなければならない」、といった感じです。こうした感覚がエスカレートすると「転勤や人事異動がない会社に行きたい」という風に思うかもしれません。

ただ、実際には、人事異動があることで、次のような良い面もあると思います。(これは筆者が人事異動のないヒトだったので、逆に人事異動がないことのデメリットとして感じたことでもあります)

・自分の向いた仕事や環境に出会えるかもしれない

  配属された仕事が自分にフィットしない場合もあると思います。そうした場合、一生その仕事をするのかと思うと気が重いですが、人事異動があれば、会社を辞めずにリセットするチャンスがもらえるわけです。

 

・相性の悪い上司から逃れられる

  上司とソリが合わないとか、上司に目をつけられてしまうと、人事評価も芳しくないですし、昇進もさせてもらえないので、つらいサラリーマン生活になりますが、一定期間ごとに人事異動があればそうした上司と離れられます。

 

・新しい経験や出会いによる成長

  今の仕事がそれなりに満足できるものである場合でも、より多様な経験をすることで自分の能力の拡大ができる可能性が高まります。専門領域に特化するだけではなかなか付加価値は生み出せませんが、異なる経験を加えることで新たな価値が生み出せるということです。もちろん、人との出会いも、自分に大きな刺激を与えてくれると思います。

 

■サラリーマンはみんな人事異動しているのか

 人事異動の季節になると、たくさんの人が異動するような感じがしますが、日本全体でみると、私のように人事異動を経験していない人はある程度いるように思います。

 例えば、中小企業の場合は部署や拠点が少ないので人事異動させる場所がそもそも少ないでしょうし、研究職なども業務の性質上あまり異動はないと思います。また、工場の現場で働く人や病院で働く人は、働く場所が変わっても仕事内容があまり変わらない異動(上述の2つめのケースですね)も多いように思います。

 また、最近では、「地域限定職」といって、住居の移動を伴う人事異動がない職種も、一部企業で導入されています。

 なので、本やドラマに出てくるような人事異動をみんなが経験するわけでもないということだと思います。

 

 

■海外にも人事異動はある?

「日本では人事異動が年中行事だけど、外国の会社や、日本にある外資系企業では、あまり人事異動はないみたい」という話を時々聞きます。「転勤したくないから外資系がいいかもね~」という感覚を持つ人もいるかもしれません。

確かに外資系企業ではあまり人事異動がないように思います。(そのかわり転職が多い印象ですが)。

とはいえ、外資系企業でも、本社から来た外人が社長や部長をしていることはけっこう多いです。彼らは人事異動で来ているので、外資系だから人事異動がないわけではないと思います。

ただ、日本の会社に比べると、専門性が重視される(=言い換えれば、自分の担当領域に集中するだけでよい)という感覚なので、人事部から経理部といった異動はあまりないように思います。

 

 

■終わりに

以上、筆者自身の限られた経験の中でコラムを書きましたが、実際には人事異動をめぐって色々な状況があると思います。

お読みいただいた方のお考えや経験などもお聞きできれば非常にうれしいです。

 

 

ではまた。