わっちのコンサルブログ~難しいことを簡単に

コンサルタント稼業のわっちが、経済やビジネスに関するトピックについて語り、時に問題提起します。週に1、2回の更新を目指します。

コロナと新人教育~今だからこそ人材教育に力を!

コロナ感染拡大から1年。2020年の新社会人は、人生の船出に大きなハードルに当たってしまいましたね。

巷ではリモートでの研修や教育を活用せざるを得ないようですが、課題は多いと思います。

そんなわけで、今回はウィズコロナ下での新人教育について考えてみます。

 

 

■新人教育の機能・目的

自分が新人だったのは30年以上前ですが(笑)、その頃を思い出しながら考えてみると、色々な機能・目的があったように思います。

 

1)自分が担当する仕事を覚える

 これは一番わかりやすいですが、自分が入った会社の業務を理解し、その中で自分が担当する仕事の詳細を覚えるというものです。

 事務職であれば事務の内容や手順を覚えますし、営業職であれば自社商品の知識や販売方法などを覚えなければなりません。例外的に、研究職などでは大学時代とやることが大きくは変わらないケースはあるかもしれませんが。

 これらの知識は、マニュアルや文書が整備されていることが多いので、そうしたテキストを見つつ、オンラインの説明で各自が習得することもある程度可能と思います。

 

2)社会人としての基本的なふるまいを身に付ける

 いわゆるマナーですね。電話の話し方とか、名刺の渡し方、スーツの着こなしといったことです。

 これらは、私の時代は集合研修+職場配属後に先輩に指導されて身に付けましたが、今はオンラインで各自が学ぶことができると思います。最近は動画も豊富であり、就活の前にこうした動画等を見て身に付ける人も多いかもしれません。

 また、1対1でロールプレイングをするなどで、本人が気付いていない直すべき点を先輩が指摘することも、ZOOMなどのビデオカンファレンスを使えば実施できます。

 

3)仕事の進め方を覚える

 「仕事の進め方」とは、チームワーク、あるいはいわゆる「報・連・相(上司等への報告・連絡・相談)」、あるいは交渉力などが挙げられます。

 会社での仕事は、一人で行うものはほとんどないですし、また自分の仕事の結果が会社や同僚に大きく影響するものです。学校の勉強は、成績が悪くても自分(と家族)が困るくらいですが、仕事はそうはいきませんので、チームワークや「報・連・相」が非常に大事です。

 また、単にルーティンワークをこなすだけではなく、新しいことをやろうとしたり、改善したりするのが本当の意味での「仕事」ですが、こうした時は周囲の理解を取り付けることが必要であり、交渉力が必要です。

さらに言えば、交渉力というのは単に押しが強ければよいというものではなく、相手の立場も尊重しながら気持ちよく納得してもらうといったスキル(「人間力」と言ったりもします)も必要です。

こうしたことは、学生時代も部活などである程度は習得できるかもしれませんが、会社では年齢が大きく異なる人が相手になること、そして会社は結果を出さなければならないことから、より高いレベルのスキルが必要です。

私の場合は、こうしたスキルは、同じ職場で働く上司や先輩の行動を横で見たり、自分自身が上司のサポートを受けながら交渉に臨むなどで少しずつ身に付けていったと思います。しかしウィズコロナ時代では同じ空間を共有する時間が制限されているので、こうした経験をする機会が減っているのではないかと思います。

 

4)仲間を作る

 学生時代と大きく環境が変わり、仕事に対する責任も生じる中、色々苦労をすることも多いですが、その時に支えになるのは、同期入社者やすぐ上の先輩などだと思います。

 上司には相談できないことでも、境遇や年齢が近い仲間になら、多少の愚痴も言えますし、より的確なアドバイスが期待できます。

 また、こうした人間関係は、将来の社会人生活でも大変貴重です。普通なら無理なお願いを聞いてもらったり、貴重な情報を教えてもらったり、人を紹介してもらったり、といったことを私も何度も経験しています。

 ウィズコロナ時代で直接会ったり飲み会をしたりが難しい中、仲間をいかに作っていくかは大きな課題です。

 

5)会社に対するロイヤリティを持たせる

これは会社側のニーズですが、多くの企業では「集合研修」で集まって生活するということも、会社に対するロイヤリティを高めるツールとして機能していたように思います。

尤も、この点は今の若い人の価値観には合わないかもしれませんが。

 

■ウィズコロナ時代の新人教育の課題

 こうした変化を踏まえ、これからの新人教育の課題を考えてみましょう。

 

1)成長の確認

 オンラインコンテンツが提供されても、個々の新人がちゃんとそれを習得できているかの確認が重要ですが、これがウィズコロナ時代には難しくなっていると思います。

 オンラインであっても、新人に対して密にコミュニケーションを取り、本人にフィードバックすることが今まで以上に大事になっています。

 そして、これを担う上司や先輩たちの負担は増えますから、会社からのサポートも重要になります。

 

2)仲間や相談相手の確立

 仲間や相談相手がいないと、仕事を覚えるのに時間がかかるだけでなく、孤独感や無力感を感じるなど、メンタル面でも影響が生じます。

積極的な新人であれば、オンラインであっても自分からどんどん動いて仲間を作っていけるかもしれませんが、消極的な人やおとなしい人はそれができない場合もあると思いますので、上司や会社は特にこうしたケアにも気を配る必要があります。

 

3)「働くこと」の体感

 自分は学生時代に家庭教師くらいしかアルバイトをしなかったので、就職するまで「働くこと」のイメージが漠然としていたように思います。なので、就職し、決まった時間に起きて出勤し、先輩や上司の指導を受け、同僚の働き方を見、ランチや飲み会を一緒することを通じて、「会社ってこういうところなのか」「働くということはこういうことなのか」を学びました。

 オンラインになると、こうしたリアルな会社生活を実感する機会が限定されますので、「働くこと」の実感をいかに持っていけるかが、その後のその人の働き方を左右するように思います。

 

 

■最後に

 ネガティブなことも多く書きましたが、新しい技術も増えていますし、きっと、工夫で乗り越えられると思います。

 どんな時代になっても、「人材」は企業の存亡を左右する大きな資源です。会社や経営者は、人材教育への投資の重要性を再確認して取り組むべきでしょう。

 

 

 

では、また!