わっちのコンサルブログ~難しいことを簡単に

コンサルタント稼業のわっちが、経済やビジネスに関するトピックについて語り、時に問題提起します。週に1、2回の更新を目指します。

資格を取ることの意味~費用対効果を考えよう  

 

ビジネスパーソンや学生の皆さんの大半は、「資格」を取ることに何らかの関心があるかと思いますし、避けて通れない話題になっていると思います。

でも、資格を取るには、時間とお金をかけて勉強しなければなりませんし、試験に受かることが必要な資格も多いです。そう、家族との時間や、友達と遊んだり趣味を楽しんだりする時間とお金を削らなければならないわけですね。

今日は、そんな「資格」の話です。

なお、企業の中に固有の資格があるケースもあると思いますが、ここでは、世間一般に通用する(つまり転職しても価値がある)資格に限定してお話します。

 

■資格の種類

日本にはどのくらいの資格があるのでしょうか?

資格の定義は明確ではないようで、はっきりした数はわかりませんが、ある調査によると1000を超える資格があるようです。結構多いですね。

以下、私なりの切り口で資格の種類を分析してみます。

 

1)資格を認証する主体による分類

国が定めた基準により認証されるもの(公的資格)と、民間団体が認証するものに分けられます。

前者の代表は、運転免許、医師免許、公認会計士などが挙げられます。

後者の代表は、ファイナンシャルプランナー(FP)、英語検定TOEICなどが挙げられます。

一般には、公的資格のほうが格上といえると思います。なぜかというと、公的資格は国が認めるもので信頼性や知名度が高いことや、その資格者でないと当該業務を行えない場合が多いことが挙げられます。

ただし、TOEICのように、民間資格であっても信頼度や知名度が高い資格もあります。

 

2)資格の効果による分類

 資格がないとその業務を行えない資格と、そうでないものとがあります。

 前者の代表は、運転免許、医師免許、公認会計士などです。車の運転、医療行為、会計監査は、法令によってこれらの資格を持った人でなければ実施できないとされています。いわゆる「業務独占資格」です。

 後者はTOEICが代表的ですし、簿記1級や数学検定や英検なども同じです。これらは、その人の能力を証明することはできますが、その資格を持っていないから能力がないとか、その仕事をさせられないという風にはなっていません。

 

3)資格取得の難易度

 一般に、公的資格のほうが難しいと思います。その資格がある人だけに業務を独占させるのですから、ちゃんとした人にのみ業務をさせる必要があり、当然そうなりますね。

 

 

■資格選びのポイント

1)自分がどんな仕事をしたいのか

 医師や会計士など、その資格がなければできない仕事をしたいのであれば、資格取得は必須ですね。これは当たり前と思います。

 一方で、資格取得が求められなくても、その分野に詳しくなるために必要な知識があることをアピールするには、資格があったほうがよいです。例えば証券アナリストやFPの資格がなくても金融機関で働くことはできますが、自分に能力があることの「お墨付き」にはなります。TOEICも同じですね。

 

2)首尾一貫性、適合性

世の中には1000を超える資格があるといいました。なので、資格がお墨付きになるといっても取れる数には限度がありますから、やみくもに多くの資格を取ることは不毛だと思います。

資格マニアになりたいのであれば別ですが、自分の就きたい仕事や自分の特性に照らして首尾一貫した資格取得を考える必要があると思います。

ということは、自分の就きたい仕事や特性をよく知っておくことが大事になります。特にこれから就活するような若い人は、ここをよく考えてみましょう。

 

3)将来性・希少性

やはり将来において需要が増えそうな資格のほうが、仕事にあぶれるリスクが少ないので、資格を取る意義が大きいと思います。

また、仕事をいかに確保できるかを考えると、希少価値のある資格のほうが相対的に有利になると思います。また、就活や転職時のアピール性も、希少性が高いほうが有利に働くと思います。尤も、あまりにニッチすぎる資格で、ほとんどの人がその資格を知らないと、相手には響きませんが。。。

 

 

■資格の費用対効果

ここで、本題である「費用対効果」について考えてみましょう。

 まず、資格の取得と保持にかかる費用は千差万別ですが、分類としては以下の通りですので、皆さんが関心のある資格について、以下の視点から確認してください。

  ・試験勉強に要する金銭的負担(テキスト代、通信教育費など)

    テキスト代だけなら数千円程度で済むものもありますが、通信教育やDVDや通学などを使う場合は数十万円単位になります。

  ・試験勉強にかかる時間

    資格により千差万別です。1000時間を超える時間がかかるものもあるようです。

また、仕事や、学校の授業で学べるものなら追加の時間はあまり使わずに済みますが、そうでない場合は自分の自由時間を捻出することになります。

 ・受験料

   数千円~数万円と思いますが、何種類もの試験をパスしないといけない資格の場合はその回数分だけ費用が掛かります。

 ・資格維持費

   意外に見落としがちなのがこれです。年間数万円単位の資格維持費がかかるものも珍しくありません。また、お金以外に、研修の受講などが必要な場合もあります。

 

資格の取得と保持にかかる費用が確認出来たら、それに対して、資格取得によって得られるメリットを「具体的に」確認してみましょう。これを「具体的に」考えることがとても大切です。

 ・その資格がないとなれない職業に就きたいか

 ・その資格があることは、本当に就職に有利か

 

なお、ここでは金銭面や就業機会といった有利不利を挙げましたが、個人的にはこれだけではないと思います。

例えば、資格を取ることは、「自分に箔がつく」ので、自分に対する自信が高まり、より前向きに行動できるという効果があります。こうした姿勢を持つことで、より多くの仕事を経験し、自分自身を成長させる機会が増えると思います。

また、その分野を一通り勉強することで、その分野を体系的に学習できます。仕事から得られることはもちろん有益ですが、自分が経験した情報のみに知識が偏る可能性があり、その意味では体系的に勉強することが必要だと思います。

 

 

■(おまけ)辛口コメント

最後に、こうした資格に関するビジネスのことにも触れておきましょう。

上述の通り、資格の取得は、現代人にとって関心の高いテーマです。

資格を取ろう!という前向きな話の後で、決していい話ではないのですが、こうしたことも知っておくほうがよいでしょう。

1)資格取得を支援するビジネスの存在

 資格を取りたい人に対して、教材や教育を提供するビジネスが活発化しています。

 良心的でちゃんとした品質の会社が多いとは思いますが、一部にはそうでない業者も存在しているようです。最近あるウェブで見たのですが、イギリスのオンライン教育会社に対し、お金を払ったのにまともな教育が受けられなかったとして加入者が訴える事件があったそうです。

 ここまで行かなくても、イマイチな先生が多いとか、資格の必要性を過度にあおって過剰なセールスをする業者も存在すると思います。

 

2)資格にまつわる利権

 上記の通り、資格取得者だけに独占的にその業務をさせるケースもあるわけですが、これを悪用して特定の人や企業に有利になるような資格の運用をするケースがありうると思います。既得権益天下り先を確保するために使われるということですね。

 

 

ではまた。